ISMS改訂は、すぐに対応する必要はなく移行期限の2025年10月31日までに実施すれば基本的にはOKです。
ISMS改訂の機会に、各管理策について再度、適用するかルールを見直しするかの検討及び新管理策のルール追加を行う必要があります。
INDEX
ISMSとは、情報セキュリティマネジメントシステム(Information Security Management System)を略して呼びやすくしたもので、組織の情報を守るためのシステム・仕組みのことです。
ISMS認証は、大切な情報が漏れたり外部から侵されないよう、安心・安全なビジネス環境を整えることを目的としています。
ISO27001とは、ISO規格のひとつで、「どのようにISMSを構築し運用するかを定めた国際規格」のことで、組織がISMS(=情報セキュリティマネジメントシステム)を確立し、実施し、維持し、継続的に改善していくための要求事項を提供するために作成されました。
ただ、ISO27001のことを「ISMS」と呼ぶ人も多く、ISO27001とISMSはほとんど同じ意味として使われています。
JISQ27001とは、JIS(日本産業規格)が、国際規格であるISO規格やIEC規格を翻訳し作成したもので、日本国内の国家規格ですが、国際規格との整合性がはかられています。
ISO27002は、情報セキュリティに関連する国際規格であるISO27001の実装を支援するためのガイドラインとして使用されます。
2022年10月に、ISO/IEC27001:2022、ISO/IEC27002:2022が発行されました。
2023年6月現在、JISは発行されていません。
JISQ27001:202X は、2023年夏頃発行予定で、
JISQ27002:202X は、2024年春頃に発行予定になっています。
ISMSは情報セキュリティに関する規格ですので、社会情勢や技術の進歩、環境の変化、新たなリスクへ対応するため定期的に基準(ルール)を変化させていくものです。
今回の改定では、クラウドサービスの普及、個人情報保護の重要性、不正アクセスやサーバ攻撃などの新たな脅威に対応するため9年ぶりの改定となりました。
新規格(ISO/IEC 27001:2022)への移行が必要となりますが、移行期間は、2022年10月31日~2025年10月31日までです。
なので、移行期限までにISO/IEC 27001:2022の要求事項への対応を実施し、移行審査を受ける必要があります。
2023年内に完了させなければならないというものではありません。
遅くとも2024年、2025年までに対応しなければならないものとして認識しておいてください。
基本的に、定期審査(維持審査)や更新審査(再認証審査)と同時実施できますが、移行審査は単独で受けられます。
移行審査がいつから可能になるのかは審査機関によって異なりますので、審査機関に確認をしましょう。
今回のISMS規格改訂による変更点と改訂内容の要点を①〜③にまとめました。
ISMS改訂に伴う、新たな管理策は下記になります。
5.組織的管理策/3個
「5.7 脅威インテリジェンス」
「5.23 クラウドサービスの利用における情報セキュリティ」
「5.30 事業継続のための ICT の備え」
7.物理的管理策/1個
「7.4 物理的セキュリティの監視」
8.技術的管理策/7個
「8.9 構成管理」
「8.10 情報の削除」
「8.11 データマスキング」
「8.12 データ漏えい防止」
「8.16 監視活動」
「8.23 ウェブフィルタリング」
「8.28 セキュリティに配慮したコーディング」
ISMS規格改訂に伴い、担当者が対応しないといけないことを4つにまとめました。
前項目「9.規格改訂に伴う担当者の対応事項」に記載している①~➃も注意点ですが、それ以外に、
ので確認をしてください。
現代では、情報へのセキュリティ対応が重要視され、新たな脅威も発生してきていますので、現状にあったリスク対策を進めていきましょう。
新規での認証取得や継続に関わらず、規格改訂により再構築が必要なケースが出て来ているので、移行対応に関して余裕をもって進めましょう。
このナレッジの監修者
結石 一樹 KEISHI KAZUKI
株式会社スリーエーコンサルティング 執行役員。
ISO・ISMS・Pマークに関するコンサルティング歴10年、担当企業数380社以上。
大手企業や上場企業のサポート経験が豊富。
効率的で効果的な認証取得はもちろん、運用のマンネリ化や形骸化、ダブルスタンダード化などの問題解決に日々取り組んでいる。