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企業の社会的責任に焦点を当てたISO26000認証とは

ISO26000は、一般的には「国際的な社会的責任のガイドライン」と呼ばれ、組織が社会的責任を果たすための基準(ガイダンス)を提供しています。ISO26000認証とは、第三者機関による認証スキームではなく、基準を満たしていることを自己宣言することを指します。

1.ISO26000認証とは

(1)ISO26000について

ISO26000認証は、社会的責任に関する国際的なガイドラインであるISO26000規格に基づき、組織が社会的責任を果たしていることを自己宣言することを指します。

ISO26000規格は、環境、労働慣行、人権、拡大するサプライチェーンにおける格差、消費者関係、株主関係、地域社会や国際社会に対する影響など、企業活動における幅広い社会的責任の領域をカバーしています。ISO26000規格「国際的な社会的責任のガイドライン」に沿って、組織が社会的責任に取り組み、社会的評価を高めることができます。

(2)ISO26000ができた背景

ISO26000ができた背景には、グローバル化が進展し、経済・環境・社会の観点から企業に求められる社会的責任の重要性が高まったという状況があります。このような状況の中、国際標準化機構(ISO)は、2010年にISO26000という国際的なガイドラインを策定しました。

この規格は、企業が社会的責任を果たすための方針や実践について、グローバルな共通の枠組みを提供するものです。企業は、この規格を参考にして、社会的責任を果たし、持続可能な発展を実現することが期待されています。

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2.企業の社会的責任(CSR)とは

企業の社会的責任(CSR)とは、組織統治・人権・労働慣行・環境・公正な事業慣行・消費者課題・コミュニティを考慮し、企業がその事業活動を通じて社会に貢献することを目的とした取り組みのことを言います。企業の単なる利益追求は目的ではないので、CSRの活動のための人件費やその他コストが発生し、長期的な視点での活動を視野に入れる必要があります。

3.ISO26000とISO14001の違い

ISO26000とISO14001の違いは、目的と規格の内容にあります。ISO26000は、企業が社会的責任を果たすための一連のガイドラインを提供する国際規格であり、企業の社会的、環境的、経済的な責任についての社会的な要求事項や期待を策定しています。第三者機関による認証を目的にしたものではなく、自己宣言になります。

一方、ISO14001は、環境マネジメントシステムのための国際規格であり、環境への負荷を軽減するための方針、手順、PDCAサイクルを構築するためのプロセスを定義しています。第三者機関による認証制度になります。

また、ISO26000は数多くある社会的責任の規格を集約する目的も持っているため、様々な規格の最新状況を取り入れています。今後、国際的なルールを取り決める際の基準となる傾向が予想され、世界的に影響が大きくなると思われます。

4.ISO26000認証取得のメリット

ISO26000認証を取得することのメリットは以下の通りです。

  1. 企業の社会的責任を示すことができるため、顧客からの信頼度が向上することが期待できます。
  2. 企業のイメージアップが図れるため、ブランド価値が向上して、競合優位性やビジネスチャンスの拡大につながる場合があります。
  3. 企業内での社会的責任に関する理解や取り組みの促進につながり、ステークホルダーとの信頼と良好なビジネスパートナーシップを築くことができます。
  4. 政府や市民社会など、社会全体に向けたコミュニケーションに大きな支援が得られる場合があります。

一方、ISO26000認証を自己宣言するためには、「国際的な社会的責任のガイドライン」に沿って、社会的責任に関する様々な要素に対して対応する必要があるため、その準備や実施には一定のリソースや時間が必要になります。

5.ISO26000の対象企業

ISO26000は、あらゆる種類の企業や組織に適用されます。つまり、公益団体、小規模企業、中小企業、大企業、政府機関、非営利団体など、どのような組織でも適用可能です。また、民間企業だけでなく、政府機関や公益団体も対象となっています。

6.ISO26000取得企業の特徴

ISO26000認証を自己宣言している企業の特徴は以下のようなものが挙げられます。

  1. 社会的責任意識が高い
  2. 顧客やステークホルダーに対する信頼性が高い
  3. 環境・社会問題に対する取り組みが積極的

ISO26000には、環境・社会・人権問題に対する取り組みが求められます。
上場企業等、グローバルな社会に影響を及ぼせる範囲が大きい組織こそ、国際的な流れの社会的責任への取り組みを何らかの形で公表する必要性がありISO26000認証に取り組む傾向があります。

7.ISO26000の取得方法

ISO26000は、認証スキームではなく、自己宣言によって取得することができます。以下の手順に従って、ISO26000に基づく社会的責任の実践に取り組み、自己宣言を行うことができます。

  1. ISO26000の規格を理解する
    まずは、ISO26000の規格を理解し、自社において、どのような社会的責任を果たすべきかを
    把握します。
  2. 重要な関係者を特定する
    自社にとって重要な関係者を特定し、彼らの期待に沿った社会的責任を実践することが
    重要です。
  3. 現在の状況を評価する
    7つの中核主題に対して、自社の社会的責任実践について、現状を評価し、強みや課題を
    明らかにします。
  4. 目標と計画を立てる
    自己宣言をするための目標や計画を立てます。実践する社会的責任活動を選択し、
    目標や計画を策定します。
  5. 実践し、報告する
    実践を行い、その成果を報告します。報告書には、実践活動や取り組みの進捗状況、
    成果や問題点、計画の見直しについて記載するとよいでしょう。
  6. 自己宣言を行う

最後に、実践した社会的責任についての自己宣言を行います。ホームページ等にて
ISO26000対照表として、ISO26000に基づく社会的責任の実践内容をまとめている
組織が多いです。



8.ISO26000に大切な「7つの原則」

ISO26000における「7つの原則」は以下の通りです。

  1. 説明責任
  2. 透明性
  3. 倫理的な行動
  4. ステークホルダーの利害の尊重
  5. 法の支配の尊重
  6. 国際行動規範の尊重
  7. 人権の尊重

9.ISO26000には「7つの中核主題」がある

ISO26000における「7つの中核主題」は以下の通りです。

  1. 組織統治
  2. 人権
  3. 労働慣行
  4. 環境
  5. 公正な事業慣行
  6. 消費者課題
  7. コミュニティへの参画及びコミュニティの発展

10.ガイドラインや要求事項を手に入れられる場所

ISO26000のガイドラインは、国際標準化機構(ISO)が公式ウェブサイトで公開しています。また、各国のISO加盟団体や認証機関でも入手可能です。

まとめ

ISO26000の認証は、「自己宣言方式」で行われますので、特定の要件を満たす必要はありません。ただし、自己宣言を行うためには、ISO26000のガイドラインを理解し、組織の実態に基づいた自己評価が必要です。

監修者

このナレッジの監修者

結石 一樹 KEISHI KAZUKI

株式会社スリーエーコンサルティング 執行役員。
ISO・ISMS・Pマークに関するコンサルティング歴10年、担当企業数380社以上。
大手企業や上場企業のサポート経験が豊富。
効率的で効果的な認証取得はもちろん、運用のマンネリ化や形骸化、ダブルスタンダード化などの問題解決に日々取り組んでいる。