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ISO45001認証とは?取得のメリットや認証のポイントを解説

ISO45001認証とは、組織が労働安全衛生に関する法的要件を遵守し、労働災害や職業病のリスクを最小限に抑えるための取り組みを行っていることを証明するものです。ISO45001を取得することにより、取引先等に安全活動に取り組んでいる企業であることをアピールでき、社内では危険源を減らし、安全な労働環境を構築するための仕組みを整えることができます。

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⑴ISO45001について

国際標準化機構(ISO)が発行する、マネジメントシステムに関する国際規格の1つで、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)の仲間の1つです。
ISO45001では、労働安全衛生リスク及び労働安全衛生機会を管理するための枠組みを提供することを目的としています。
企業で働く人の労働に関係する負傷及び疾病を防止し、安全で健康的な職場を提供することで、労働環境を改善するためのガイドラインとして、ISO45001を活用することができます。

⑵ISO45001ができた背景

ISO45001ができるまでの主な流れは以下のようになっています。

西暦
内容
1990労働安全衛生の国際的なマネジメントシステム規格策定の検討が開始されるが、「現時点では不要」との結論に達し、規格の発行は見送り。
1996英国規格協会が労働安全衛生マネジメントシステムの国内規格BS8800を発行。
1999OHSAS(Occupational Health & Safety Assessment Series)というグループ設立に賛同する企業が集まり、OHSAS18001(Occupational Health and Safety Assessment Specification)、OHSAS18002を発行。
2007OHSAS18001改訂版発行。
20182018年3月12日、ISOが国際規格としてISO45001を発行。
2021OHSAS18001、OHSAS18002廃止。

⑶ISO45001認証を取得する目的

企業がISO45001認証を取得する目的として、以下が主な理由として挙げられます。

【社外的な目的】

・取引先からのISO45001認証取得要求
・入札等の加点、アピール
・ISO45001認証取得により、安全な企業とアピール(採用活動等)

【社内的な目的】

・危険源の洗い出しを行い、対策を取ることにより事故リスクを減らすこと
・規程、マニュアル、手順書等を整備し、労働安全衛生体制を整えること
・企業で働く人の意識を向上させ、安全第一意識を強化すること

2.OHSAS18001との違い

OHSAS18001は労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格です。
上述の⑵ISO45001ができた背景の通り、現在は廃止されています。
ISO45001と目的は変わりませんが、ISO45001はOHSAS18001よりも要求事項が多く、詳細な要求事項もあります。
OHSAS18001に基づいて労働安全衛生マネジメントシステムを構築してきた企業は、OHSAS18001をベースとして、ISO45001の要求事項に対応していかなければなりません。

3.ISO45001認証を取得するメリット

⑴労働安全衛生の管理体制の構築

ISO45001認証を取得することにより、労働安全衛生の観点から企業の業務を安全に行うための手順を構築することができます。
この手順には、労働安全衛生マネジメントシステムを運用するための管理体制(トップマネジメント、管理者等)、労働安全衛生リスクマネジメント手順、教育、内部監査やマネジメントレビュー等の手順が含まれており、労働安全衛生の管理体制を構築することができます。

⑵労働安全衛生にかかわるコストの削減

労働安全衛生リスクを低減させることにより、事故発生コストがかかる可能性を下げることができます。
人災、ガス爆発、薬品漏えい、天災等を対象に定期的な訓練を行います。

⑶顧客からの信頼性向上

ISO45001では専門組織(審査機関)による審査が定期的に実施されます。
審査に合格し続けていることで顧客からの信頼性が向上します。

⑷労働者の満足度向上

ISO45001では働く人の代表者にもマネジメントシステムに参加してもらい、働く人の目線での改善案を意見してもらいます。
また、労働安全衛生マネジメントシステムを通じて労働環境改善が行われるので労働者の満足度が向上します。

⑸人材を守ることができる

安全衛生マネジメントシステムを構築・運用し、負傷や疾病が減ることで、休職、離職を防止し、人材を守ることができます。

4.ISO45001認証を取得するデメリット

⑴コストが掛かってしまう

外部審査の費用、コンサルティングの費用、その他人材教育等にコストがかかります。
外部審査の費用は、ISO45001を取得する部門の人数、拠点、業務に対する危険リスク等によって変動します。
また、費用が安い審査機関もあれば、高い審査機関もあります。

①審査機関の認知度
②審査機関の費用
③審査機関の審査の特徴

等を考慮して、審査機関を決定すると良いでしょう。

⑵取得のための手間が掛かる

規程、マニュアル、手順書の作成、危険減の洗出し、リスク対策、教育、訓練、内部監査等取得をするために時間を割かなければいけません。
簡単には取得できないので、手間はかかると考えておいた方が良いです。

5.ISO45001はどんな企業が取得しているのか?

2018年に発行されたばかりのISO45001ですが、取得する企業は年々増えています。その大半は、ISO45001取得によるメリットが大きい業種です。

公益財団法人 日本適合性認定協会が公開している「適合組織統計データ」によると、2024年3月時点で合計1594(内、JAB認証:244)の企業がISO45001を取得しています。
取得する企業は建設業、製造業を筆頭に様々な業種で取得されています。

6.ISO45001の要求事項について

要求事項とは、ISO45001認証取得に欠かせない、ISO規格(JIS規格)で要求された実施事項のことです。
ISO45001の審査では、ISO規格(JIS規格)の要求事項に対して、適切な文書が作成されているか、適切な運用がされているかが確認されます。

ISO45001の主な要求事項は以下の通りです。

1)組織の状況

企業の外部環境、内部環境の側面から、労働安全衛生の課題を決定し、ISO45001を適用する範囲(適用範囲)を決定します。
特に適用範囲は文書化要求があるので、書面として残す必要があります。

2)リーダーシップ及び働く人の参加

労働安全衛生方針を作成し、方針を達成するための組織体制を決定します。
労働安全衛生方針を達成するために誰が何をするのかを文書化する必要があります。

3)計画

労働安全衛生方針を達成するための目標の設定、危険減の洗い出しやリスクアセスメント、順守すべき関連法令の特定を行い、実施事項の決定並びに実施計画策定を行います。

4)支援

労働安全衛生マネジメントシステムを運用するために教育、コミュニケーション、文書管理等を行います。

5)運用

危険減の除去及び労働安全衛生リスクを低減するための活動、委託先の評価、緊急事態の訓練等を行います。

6)パフォーマンス評価

モニタリング対象を決定し、計画通りに又は基準通りに運用できているかの確認を行います。
また、マネジメントシステムが適切に運用されているのか、内部監査で確認し、経営層へ報告します。

7)改善

インシデント、不適合が発生した場合や改善事項に対する改善計画を作成し、実行します。

7.ISO45001の要求事項を満たすためのポイント

⑴トップが主導する

ISOシリーズは基本的にトップダウンの考え方をしています。
経営層が主体的に労働安全衛生に取り組み、教育を行っていかなければ、適切な労働安全衛生マネジメントシステムは運用できません。
労働安全衛生方針の作成のみならず、安全に関する会議の参加、現状の把握、幹部への指導を積極的に行わなければいけません。

⑵「働く人」全てに参加を促す

ISO45001では、他のISO規格よりも働く人のニーズを重要視しています。
人災が発生するのは現場であり、働く人です。
働く人に企業が労働安全衛生に取り組んでいること、労働環境を改善するための対策の重要性、企業の管理体制等を伝え、理解してもらわないと積極的に参加してもらえません。
現場の改善ポイントを一番理解しているのは働く人なので、働く人全てに参加を促すのは非常に重要なことです。

⑶PDCAサイクルの運用を回す

ISO45001のみならず、ISOシリーズでは、PDCAサイクルの運用を回し、継続的に改善を行っていくためのガイドラインとなっています。

ISO認証を取得した経験のある方は、取得する際に必死にマニュアルを作成し、教育し、審査に備えてきた経験があると思います。
ISO45001は取得することよりも、継続的に改善し、審査に合格し続けていく方が難しいです。

継続的に改善するためには、
(P)文書が現状と合っているか、法令等と剥離がないかを定期的に見直し、
(D)最新の労働安全衛生活動を教育し、実行してもらい、
(C)適切に運用できているか、危険源は潜んでいないかを確認し、
(A)改善に繋げていく
ことが重要です。

8.ISO45001の認証取得までの流れ

ISO45001の認証取得までの流れは以下の通りです。

(1)ISO45001の適用範囲を決定する。

ISO45001の適用範囲を決定する時には、企業のどの業務でISO45001を取得するのか、どの部署で取得するのかを決定します。

(2)ISO45001を運用するチームメンバーを決定する。

ISO45001を運用するためには旗振り役が必要になります。
経営層の中での管理者、安全衛生の責任者、事務局、部門から主にISO45001に関わるメンバー等を決定します。

(3)ISO45001を運用するための規程、マニュアル、手順書を作成する。

最初はISO45001(JIS Q 45001)規格の要求事項に従って、基本規程を作成することから始めると良いでしょう。基本規程を作成し、具体的な手順をマニュアル、手順書に落とし込んでいきます。
基本規程、マニュアル、手順書が作成できたら、関連する文書として、労働安全衛生方針、労働安全衛生目標、関連法令等の遵守評価表等を作成します。

(4)ISO45001を運用する。

ISO45001は文書だけあっても審査には通りません。
基本規程、マニュアル、手順書に従いながら運用する必要があります。

運用した記録は後の審査で確認されるので、文書管理手順に従い保管します。
特に内部監査とマネジメントレビューは漏れなく実施する必要があります。

(5)外部審査を受ける。

人数が少ない企業、安全衛生リスクが少ない企業であれば、規程作成着手から半年程度で審査を受けられる体制を整えることが可能です。
外部審査は、初めてISO45001を取得する場合、1次審査と2次審査とで2回審査を受けます。

1次審査:主にISO45001文書の審査を行います。
2次審査:主にISO45001運用状況の確認を行います。

外部審査の際に、マネジメントシステムに欠陥がある場合、「不適合」として指摘を受けます。
不適合として指摘を受けた場合は、定められた期限内に是正報告を行う必要があります。

審査機関から合格と評価を頂ければ、ISO45001認証を取得することができます。

9.まとめ

ISO45001(JIS Q 45001、労働安全衛生マネジメントシステム)認証を取得することで、労働安全衛生の観点から企業の業務を安全に行うための手順を構築することができます。この手順はPDCAサイクルをベースとしており、継続的に改善を進められるようになっています。

ISO45001を取得することにより、取引先等に安全活動に取り組んでいる企業であることをアピールでき、社内では危険源を減らし、安全な労働環境を構築するための仕組みを整えることができます。
ISO45001は安全第一に取り組んでいる企業の助けになります。是非、一度ISO45001についてお問い合わせください。

監修者

このナレッジの監修者

結石 一樹 KEISHI KAZUKI

株式会社スリーエーコンサルティング 執行役員。
ISO・ISMS・Pマークに関するコンサルティング歴10年、担当企業数380社以上。
大手企業や上場企業のサポート経験が豊富。
効率的で効果的な認証取得はもちろん、運用のマンネリ化や形骸化、ダブルスタンダード化などの問題解決に日々取り組んでいる。