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ITサービスの質に課題を感じていませんか?
システム障害や対応のばらつき、利用者からの不満など、ITサービスに関する問題は組織の信頼にも関わる重要なテーマです。
こうした課題を根本から見直し、継続的な改善を図るための仕組みとして注目されているのが「ISO20000」です。ISO20000はサービスの立ち上げから運用、改善までを体系的に管理できる枠組みを提供しており、顧客の信頼向上や取引先の拡大にもつながります。
ここでは、ISO20000とは何か、ITILとの違い、求められるマネジメントシステムの内容、取得によるメリット、そして認証取得までの具体的なステップについて解説します。
読み終えていただければ、ISO20000を活用してITサービスの信頼性を高め、ビジネスの成長につなげるための実践的な知識が得られます。
ISO20000は、ITサービス提供におけるマネジメントシステムに関する国際規格です。
ITサービスとは、情報技術を活用して利用者に価値を提供するサービスを指します。例えばヘルプデスク対応、システム運用、クラウドサービス提供などがあります。
マネジメントシステムとは、サービスが利用者の期待に応えられるよう、方針・仕組み・手順・役割などを整備・運用し、計画的かつ組織的に管理する仕組みのことです。
国際規格とは、国際標準化機構(ISO)が世界共通の基準として定めたものです。ISOを取得するということは、世界レベルで信頼性があることを示せるため、様々な取引を円滑にします。
このISO20000は、組織がITサービスを良い状態で提供するために「何をすべきか」を明確にしています。例えば、新しいITサービスを始める前にしっかり計画を立てることや、サービス開始後に問題が起きたときの対応方法、さらにサービスをより良くするための改善活動など、ITサービスの始まりから終わりまでの一連の作業の進め方や守るべきルールを示しています。
ISO20000とともによく聞くワードで「ITIL(アイティル)」があります。
このITILとISO20000は、どちらもITサービスに関する指針やルールを整理した仕組みのことですが、性質に重要な違いがあります。
ISO20000は正式な国際規格であり、組織のITサービスマネジメントシステムが満たすべき「要求事項」を定めています。審査機関による審査を受け、基準を満たすと認証を取得できる仕組みになっています。つまり、「何を達成すべきか」という目標を示した「認証の基準」です。
一方、ITILはイギリス政府主導で作られた、実践的な「ベストプラクティス集」です。
この「ベストプラクティス集」は、政府、専門家、IT運用現場などの実務者たちによる、長年の実務経験から得られた優れたITサービス管理の実践方法をまとめた「実務者たちの集合知」です。
「どのように実施すべきか」という実践的な手法を提供しており、認証制度はありません。
ITILはバージョンごとに進化しており、現在は「ITIL 4」です。
ISO20000とITILの関係は補完的であり、多くの組織ではITILの実践方法を参考にしながら、ISO20000の要求事項を満たす取り組みを行っています。
ISO20000が「達成すべき目標」を示すのに対し、ITILはその「達成方法」のヒントを提供すると考えるとわかりやすいでしょう。
この二つを理解し適切に活用することで、組織はITサービスの品質向上と効率的な運用を実現できます。
ISO20000では、ITサービスを安定して提供し、継続的に改善することが求められています。そのためには、計画的で組織的な管理が必要です。
具体的には、以下のような取り組みが求められています。
このように、ISO20000では、サービスの安定した提供と質の向上を目指し、計画から改善までの流れを継続的に管理することが求められています。
ISO20000認証を取得することで、組織にはさまざまなビジネス上のメリットがあります。
認証を取得していることで、入札において加点される場合があり、より有利なポジションで競争に参加することができます。
多くの公共機関や大企業では、入札時にISO20000認証を取得していることが条件として求められることがあります。例えば、政府のシステム運用や管理、ITインフラの構築といった大型案件で、認証の取得が入札条件に含まれることがあります。
これにより、取引先の拡大や大型案件の受注チャンスが増えることが期待されます。
ISO20000認証を取得することにより、顧客からの信頼を獲得でき、さらに新たな顧客を引き寄せることができます。
ISO20000認証は、ITサービスの品質管理が国際基準に基づいて適切に行われている証です。これにより、既存顧客に対してサービスの安定性や信頼性が証明され、顧客からの信頼が深まります。
また、新規顧客はサービスの質や信頼性を重視している場合が多いため、ISO20000認証を取得していることが取引先選定の決め手になることがあります。
ISO20000認証は、既存顧客との信頼関係を深めるだけでなく、新規顧客の開拓にも有利に働く重要な要素です。
ISO20000認証は、他のISO規格(ISO9001やISO27001)と統合して運用することで、業務の効率化と一貫性が向上します。
複数のISO規格を統合して運用することは、一般的に「IMS(Integrated Management System)」と呼ばれます。
これらの規格を合わせて導入することで、管理の共通点を活用し、重複する作業や手続きを削減できます。これにより、業務の無駄が減り、リソースを有効活用することが可能になります。
ISO20000の取得には、準備から認証まで、いくつかの段階を踏む必要があります。
まず、自社のITサービスマネジメントの現状を把握し、ISO20000の要求事項と比較してギャップを明確にします。
このステップでは以下の点がポイントです。
認証取得に向けたプロジェクトチームを立ち上げ、スケジュールや役割分担を明確にします。
IT部門だけでなく、サービス提供に関わるすべての部門との連携が重要です。
ISO20000は「サービス管理の継続的改善」が要求されるため、ITILと照らし合わせて進めることが有効的です。
ISO20000の要求事項に基づき、マネジメントシステムを設計・文書化します。ここでは、ITサービスの品質を安定して維持・向上させるための仕組みを整備していきます。具体的には以下のような文書や体制の整備が求められます。
マネジメントシステムが形になったら、社内の関係者に対してその内容を教育し、実際に運用を開始します。
運用を一定期間行った後、内部監査(社内での点検)を実施して、マネジメントシステムがISO20000の要求を満たしているか、実際に効果を発揮しているかを評価します。
その結果を踏まえて、マネジメントレビュー(経営層による見直し)を行い、今後の改善点や方針を明確にします。
認証機関による審査が行われます。通常は以下の2段階で進行します。
審査を通過すれば、ISO20000の認証が発行されます。
ISO20000の認証取得は、ITサービスの品質を向上させるだけでなく、顧客からの信頼獲得にもつながります。ただし、規格の理解や文書作成、プロセス設計などには専門的な知識が求められるため、戸惑う企業も少なくありません。
ISO NEXTでは、ISO20000の認証取得を目指す企業さまに向けて、ギャップ分析から文書作成、運用支援、内部監査支援まで一貫したサポートを提供しています。
初めてのISO認証取得でも安心して進められるよう、わかりやすく丁寧にご支援いたします。
ぜひお気軽にISO NEXTにご相談ください。
ISO20000は、ITサービス提供におけるマネジメントシステムに関する国際規格です。
ISO20000は認証の基準、ITILはベストプラクティス集です。二つの関係は補完的で、ITILの実践方法を参考にしながら、ISO20000の要求事項を満たす取り組みを行うことをおすすめします。
ISO20000が求めるマネジメントシステムとは、以下のような取り組みのことです。
ISO20000認証を取得するメリットは、主に以下の3つです。
認証取得の流れは以下の6ステップです。
ISO NEXTでは、ISO20000の認証取得を目指す企業さまに向けて、ギャップ分析から文書作成、運用支援、内部監査支援まで一貫したサポートを提供しています。
ぜひお気軽にISO NEXTにご相談ください。
このナレッジの監修者
結石 一樹 KEISHI KAZUKI
株式会社スリーエーコンサルティング 執行役員。
ISO・ISMS・Pマークに関するコンサルティング歴10年、担当企業数380社以上。
大手企業や上場企業のサポート経験が豊富。
効率的で効果的な認証取得はもちろん、運用のマンネリ化や形骸化、ダブルスタンダード化などの問題解決に日々取り組んでいる。