「クリアスクリーン」という言葉、耳にしたことがありますか?クリアスクリーンとは、ディスプレイを他人に見られないようにすることで、情報漏洩を防ぐための対策のことです。クリアスクリーンを企業に取り入れるための重要なステップを解説します。
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クリアスクリーンとは、ディスプレイに情報が表示されたままで他人に見られることを防ぐセキュリティ対策のことです。
具体的には、離席時や作業中断時にパソコンの画面をロックしたり、プライバシーフィルターを使用したりして、画面に表示されている情報が外部から見えないようにする取り組みなどのことです。
私たちは日々大量の情報をやり取りをする上で、情報漏洩のリスクは常に存在します。クリアスクリーンは、そんなリスクを最小限に抑えるための有効な手段として注目されているのです。
注目されている主な理由としては、以下のような点が挙げられます。
近年、情報漏洩事件が後を絶たず増加する一方です。その対策が早急に求められています。
リモートワークの増加に伴い、カフェなどのセキュリティが万全でない環境で作業を行う機会が増えています。悪意ある第三者からデータを抜き取られたり、知らない間に情報漏洩を起こしているケースもあります。
個人情報保護に関する法規制が強化され、企業はより厳格な情報管理を求められています。
クリアスクリーンを実現するには、下記のような方法があります。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
電話当番や、一時的な離席の際に、ユーザーが自分でPCをロックする方法です。Windowsの場合はキーボードの「Winキー + L」、Macの場合は「Ctrl + Command + Q」のショートカットを使って画面をロックできます。ロック解除は、PCのパスワードを入力しましょう。
一定時間操作がない場合に、PCの画面を自動的に隠します。「使用していない場合は10分後にスクリーンセーバーを開始」といった設定をしましょう。
一部の液晶ディスプレイには、視野角を狭くして横からの視界を遮る機能が搭載されています。ソフトウェアで設定することで、プライバシー保護を強化できます。
窓ガラスに貼るフィルムで、外から室内が見えにくくなるようにします。パソコンだけでなく、オフィス全体のセキュリティ向上にも役立ちます。
クリアスクリーンを実施することで、様々なメリットが得られます。
クリアスクリーンを導入することで、机上での情報漏えいのリスクを大幅に減らすことができます。特に、機密性の高い情報を取り扱う企業にとっては、必須のセキュリティ対策と言えるでしょう。
クリアスクリーンの導入は、従業員のセキュリティ意識向上にもつながります。クリアスクリーンに関するルールを定め、周知徹底することで、従業員は情報セキュリティの重要性を認識し、より慎重な情報取り扱いを心がけるようになります。
情報漏洩による損害は、企業にとって大きな打撃となります。クリアスクリーンを導入することで、情報漏洩のリスクを低減し、結果的にコスト削減につながる可能性があります。情報漏洩による損害賠償や、企業イメージの低下による損失などを防ぐことができます。
個人情報保護法などの法規制への対応にも役立ちます。クリアスクリーンは、法規制で求められる情報保護対策の一つとして位置づけられる場合もあります。クリアスクリーンを導入することで、法規制へのコンプライアンスを確保することができます。
クリアスクリーンをスムーズに導入するために、以下のステップを踏んでいきましょう。
それぞれ詳細を解説します。
「なぜクリアスクリーンが必要なのか」という疑問を解消し、従業員全員が導入の目的を理解することが重要です。情報漏えいのリスク、個人情報保護の重要性などを具体的に説明し、クリアスクリーンが企業全体のセキュリティレベル向上に貢献することを強調しましょう。その際は、経営層が率先してクリアスクリーンの重要性を示し、全社的な取り組みとして推進することも効果的です。
従業員の作業環境や予算に合わせて最適なクリアスクリーンのツールや製品を選び、各部署にスムーズに設置します。設置マニュアルを作成し、スムーズな設置をサポートしましょう。
クリアスクリーンの利用ルールを具体的に定め、情報漏えいを防止するための対策を盛り込みます。作成したルールを全従業員に周知し、理解を深めさせ、ポスター掲示など視覚的な訴えかけも効果的です。
クリアスクリーンの重要性や使い方に関する研修を実施し、ロールプレイングやQ&Aセッションを取り入れることで、実践的なスキルを習得させます。
また、定期的に各部署を巡回し、ルールが守られているか確認しましょう。ルールを守れていない従業員には、個別で指導を行い、改善を促します。また、従業員の意見を聞き、より良い運用に繋げましょう。
クリアスクリーンは、情報漏洩を防ぎ、企業のセキュリティレベルを向上させるための有効な手段です。
クリアスクリーンには、下記のような方法があります。
クリアスクリーンのメリットは下記のとおりです。
スムーズに導入していくにあたって、下記のことが重要です。
クリアスクリーンの導入は一度きりで終わりではありません。継続的な取り組みを通じて、従業員のセキュリティ意識を高め、情報漏洩を防止する体制を築いていきましょう。
このナレッジの監修者
結石 一樹 KEISHI KAZUKI
株式会社スリーエーコンサルティング 執行役員。
ISO・ISMS・Pマークに関するコンサルティング歴10年、担当企業数380社以上。
大手企業や上場企業のサポート経験が豊富。
効率的で効果的な認証取得はもちろん、運用のマンネリ化や形骸化、ダブルスタンダード化などの問題解決に日々取り組んでいる。