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上場にISMS(ISO27001)の取得は必要か?上場に求められる情報セキュリティ対策も解説!

ISMS(ISO27001)の認証取得は、上場に必須ではありませんが、上場準備の工数を削減できます。
ISO27001という第三者認証をとっていることで、「すでに情報保護の仕組みを導入できている」という認識になり、上場審査もスムーズに進みます。逆に取得していない場合、「情報の管理はどのようにしているか」という質問からのスタートとなり、体制を把握するのに時間を要します。

1.ISMS(ISO27001)とは?

ISMS(ISO27001)は、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格です。
この規格は、組織が情報資産を適切に保護するためのフレームワークを提供します。
具体的には、情報セキュリティリスクを評価し、リスクを管理・最小化するためのポリシーや手順を設定することを求めています。

ISMS(ISO27001)は、情報セキュリティの継続的な改善を推進するPDCAサイクル(
Plan-Do-Check-Act)に基づいています。
Planフェーズでは、情報セキュリティリスクを評価し、リスクを管理するための目標とポリシーを設定します。
Doフェーズでは、設定したポリシーを実行します。
Checkフェーズでは、ポリシーが適切に実行されているかを監査します。
Actフェーズでは、監査結果に基づいてポリシーを改善します。

ISMS(ISO27001)を取得することで、組織は情報セキュリティの管理体制が国際的な基準に適合していることを証明できます。
これにより、顧客やパートナー企業からの信頼を得ることができます。

また、情報セキュリティリスクを適切に管理することで、情報漏洩などの事故を防ぐことができます。

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2.ISMS(ISO27001)は上場に必要なのか?

上場企業となるためには、企業の信頼性や透明性が求められます。
その一環として、情報セキュリティの管理体制が整備されていることが重要となります。
IPOを目指す企業は、将来的に規程の整備を始めとしたIT統制を実施する必要があります。

IPOあるいは将来的なIPO準備のためにISMS(ISO27001認証)を取得する企業も存在しますが、ISMS(ISO27001)の認証取得は、上場をするための必須条件ではありません
あくまで企業の情報セキュリティ体制を強化し、その信頼性を外部に示すための一つの手段です。

3.企業がISMSを取得するメリット

⑴社内の情報セキュリティの向上

ISMS(ISO27001)を取得することは、企業の情報セキュリティの向上に大きな影響を与えます。
ISMS(ISO27001)は情報セキュリティ管理システムの国際規格で、その取得は企業が情報セキュリティに対する一貫したアプローチを持っていることを証明します。
これにより、社内の情報セキュリティ意識が高まり、情報資産の保護が徹底されます。
また、リスク管理の観点からも、情報漏洩などの事故を未然に防ぐことが可能となります。

⑵上場準備の工数を削減できる

ISMS(ISO27001)の取得は、企業が上場準備を行う際の工数削減に大いに寄与します。
具体的な削減時間は企業の規模や状況によりますが、ISMS(ISO27001)導入により情報セキュリティ管理体制や一部規程が整備されるため、IT統制にかかる工数が大幅に削減されます。
これにより、企業は上場準備に必要な他の業務に集中することが可能となり、全体の効率化につながります。

⑶自治体や企業との取引条件をクリアできる

ISMS(ISO27001)の取得は、自治体や企業との取引条件をクリアする上で大きなメリットをもたらします。ISMS(ISO27001)は情報セキュリティ管理の国際標準であり、これを取得することで企業の情報セキュリティ対策の適切さを証明できます。
これは、情報を取り扱う取引において重要な要素となります。
特に、個人情報の取り扱いを伴う取引や、情報セキュリティが重視される業界では、ISMS(ISO27001)の取得は取引条件を満たすための必須条件となることもあります。
したがって、ISMS(ISO27001)の取得は、企業との取引機会を広げ、ビジネスの拡大に寄与する可能性があります。

4.企業がISMSを取得するデメリット

⑴自社で対応する場合、工数が多い

具体的には、ISMS(ISO27001)導入には専門的な知識が必要であり、そのための教育や研修が必要となります。また、定期的な監査や改善活動を行うための体制作りも求められます。
さらに、ISMS(ISO27001)の維持には組織全体の協力が必要であり、その意識改革も大きな課題となります。

⑵審査などで費用がかかってしまう

ISMS(ISO27001)の取得は、企業にとって一定の費用負担が伴います。審査費用や維持費用、改善に必要な費用などが主な負担となります。
特に、初回審査費用は数百万円程度とされ、規模によってはそれ以上になることもあります。
また、年間の維持費用も必要で、これには監査費用や再認証費用が含まれます。
さらに、ISMS(ISO27001)要求事項を満たすためには、システムの改善や人員の教育などにも費用がかかることが考えられます。

これらの費用は、企業の規模や業種、既存のセキュリティ状況などにより変動します。

5.上場の際に求められる情報セキュリティ対策

⑴IT全般統制

①システムの開発・保守に係る管理

システムの開発や改修がビジネス要件を適切に反映し、またその運用が適切に行われることを確認するためのものです。
具体的には、システム開発の要件定義、設計、テスト、導入、運用、保守といった一連のプロセスに対する管理体制や手続きを整備し、それらが適切に機能しているかを評価します。
これにより、システムの信頼性を確保し、ビジネスの継続性を支えます。

②システムの運用・管理

システムの稼働状況の監視、異常時の対応、システムの更新・保守、バックアップの実施などが含まれますこれらの適切な運用・管理は、情報の信頼性を保つために不可欠です。
また、情報漏洩やシステム障害といったリスクを低減する役割も果たします。

③内外からのアクセス管理などシステムの安全性の確保

情報セキュリティ対策が重要で、特に、内外からのアクセス管理はシステムの安全性を確保するために必要です。
不正アクセスを防ぐため、アクセス権限の設定やパスワードポリシーの適用、ログの監視などが求められます。
また、外部からの攻撃を防ぐためのファイアウォールの設定も重要です。

④外部委託に関する契約の管理

情報セキュリティ対策を含む契約内容の明確化、適切な監視体制の構築、そして委託先の選定と評価が求められます。
これらは、企業の情報資産を適切に保護し、ビジネスの継続性を確保するために不可欠です。

⑵IT業務処理統制

①入力管理

不正や誤りのないデータ入力を確保するため、入力データの正確性や完全性を検証する手段が必要です。
例えば、入力データのチェックデジットや範囲チェック、存在チェックなどを行います。また、重要な入力は二重チェックを行うなど、業務の重要度に応じた管理が求められます。

②データ管理/処理統制

データの正確性、完全性、タイムリーな処理を確保するため、入力データの検証、処理結果のビュー、エラーデータの修正管理などが求められます。また、データの不正アクセスや漏洩を防ぐためのセキュリティ対策も必要です。これらは、企業の信頼性を保つために不可欠な要素です。

③出力管理

出力データの正確性を確保するため、出力結果の確認やエラーチェック、不適切な出力の防止などが求められます。また、出力データの取扱いについても、適切な保管・廃棄手順やアクセス制限など、情報漏洩防止の観点から厳格な管理が必要です。これらは、企業の信頼性を保つために不可欠な要素です。

④IT業務処理のリスクコントロールマトリックス

IT業務処理のリスクコントロールマトリックスを作成し、リスクの特定、評価、管理を行います。これは、業務プロセスとITシステムの関連性を明確にし、リスクを最小限に抑えるための手段です。
具体的には、業務プロセスごとのリスク、そのリスクに対するコントロール活動、その効果を評価する指標を明記します。これにより、リスク管理の体制を強化し、情報セキュリティを確保します。

6.まとめ

ISMS(ISO27001)の認証取得は、上場をするための必須条件ではありませんが、IPOあるいは将来的なIPO準備のためにISMS(ISO27001認証)を取得することで、得られるメリットとデメリットを解説させていただきました。
ISMS(ISO27001)は、あくまで企業の情報セキュリティ体制を強化し、その信頼性を外部に示すための一つの手段です。

会社規模や業種などによって、かかる工数/費用は変動しますので、会社として投資家や顧客から信頼を得るには、何が一番かを検討していただくことが最優先かと思います。
そんな中、自社だけで取得するのは大変なので、当社にご相談いただければ幸いです。

監修者

このナレッジの監修者

結石 一樹 KEISHI KAZUKI

株式会社スリーエーコンサルティング 執行役員。
ISO・ISMS・Pマークに関するコンサルティング歴10年、担当企業数380社以上。
大手企業や上場企業のサポート経験が豊富。
効率的で効果的な認証取得はもちろん、運用のマンネリ化や形骸化、ダブルスタンダード化などの問題解決に日々取り組んでいる。